記録簿

小説とか映画とか音楽とか展覧会とかライブとか、そういうやつの感想をつらつらと残していきます。

映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の感想。


「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」プロモ映像

小説読了の翌々日、これは行かねばと上映終了間際の映画館に駆け込んで観てきました。

原作の感想を書いた記事の中で、

読み進める途中に少しページを遡るのではなく、最後まで読んだらもう一度始めから、となる一冊。

なんて偉そうなことを宣っておりましたが、もう一度読み返す感覚で観れますよこれ。一部映画用に改変されてはいますが、話の流れ方は割と原作のまま。結果、開始2分で号泣する始末。

 

これまた自分の記事からの引用で恐縮ですが、

恋に落ちる2人を描いたどのシーンも、映像として切り取るとまるでフィルターをかけた写真のようにどれも美しくて、でも光に透けて消えていきそうな儚さを孕んでて、もうそれだけで泣けてくる。

ということを書いていたのですが、もうこれがそのまんま映像になってて驚いた。自分が小説を読みながら想像していた色が、そのままスクリーンに投影されていました。特に、物語が進むにつれて小松菜奈の美しさが際立っていくのがとても良かった。

 

映画は本と違って「読み返し」が効かないけど、都度回想を挟んで伏線回収してくれるのは原作未読の人にも優しいね。若干話戻るの多くね?とも思ったけど(笑)あと、映画オリジナルの描写といえば、福士くん演じる孝寿が教室で絵を描くシーン。それから、小松ちゃん演じる笑美が"最初の日"へと遡る回想シーン。あれがすごく良かった。良かった繋がりで言えば、主題歌もかなり良かった。


back number「ハッピーエンド」MV(Short )「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」Ver.

この映画1本観るのにどれだけ泣いてただろうな。結末を知っているが故なのだろうけど、常に「美しい」と「切ない」と「儚い」が同居していて、終始ぼろぼろ涙を流していました。

自分は原作よりこちらのほうが好きかもしれない。映像と音楽の力は偉大だな。できれば自分と同じように原作を読んでから、2回目を読むつもりで映画版を観ていただきたい、そんな作品です。

 

m-diary.hatenadiary.jp

 ↑原作の感想はこちら。よろしければこちらもどうぞ。 

小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の感想。

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

 

 前々から気になってた作品を一気読みしました。文字通り一気読み。

一気読みというのは決して斜め読みではなく、しっかり読んでの一気読みです。それくらいの長さ(300ページ弱)で、文体も軽くてさらっと読める感じ。感覚的にはライトノベルを読むのに近いかも。

 

もうただひたすら切なくて、読み進めるごとに2人にのしかかる運命の重さ、残酷さが、ずしりと胸を圧し潰すような読感が印象的な作品でした。ライトな文体だからさらっと話が入ってきてしまうのもつらい。何を考える猶予も与えずに文字を目で追うだけで泣けてしまう。

ある電車の中というありふれた日常風景の中から物語が始まるのに、最終的にかなりスケールの大きい話になるので、そこに馴染めないというか違和感を感じる人は少なくないのかも。けっこうぶっ飛んでます。個人的には『陽だまりの彼女』を彷彿とさせると思ってます。恋愛もの??ファンタジー??えっ??みたいな。スケールのでかさで言ったら『君の名は。』も負けちゃいないか。最近の作品しか例に出せず申し訳ない。

ただ、恋に落ちる2人を描いたどのシーンも、映像として切り取るとまるでフィルターをかけた写真のようにどれも美しくて、でも光に透けて消えていきそうな儚さを孕んでて、もうそれだけで泣けてくる。舞台が京都っていうのがまた頭の中の映像美感を増していい。実際、近所のカフェで読み進めていたものの途中で涙を堪え切れなくなって、慌てて自宅に戻って続きを読みました。めっちゃ泣いたわ。でもまた泣くのを承知でもう一度読み返したくなる作品だな。一番最後の場面が特にそうさせる。読み進める途中に少しページを遡るのではなく、最後まで読んだらもう一度始めから、となる一冊。永遠にループしたくなる感覚は自分がこれまで読んだ中で一番好きな作品によく似ているのだけれど、そこに触れると「ぼくは明日-」のネタバレというか、作品に仕掛けられた謎の手掛かりになってしまいそうなので残念だけれども割愛。多分こういうネタのものが好きなんだろうね。お暇な方は探してみてください。東野圭吾作品だよ。

 

それから、この作品は主人公南山孝寿の視点で語られるわけですが、「彼にこんな風に思われたい!」「私のこともこんな風に好きでいてくれたらいいな!」が詰まってるんじゃないかな。キュンキュンしたい女子、キュンキュンさせたい男子、必見だぞ。自分にはよくわからないけど。

 

若干話は逸れたけど、映画化まで漕ぎ着けた理由がよくわかりました。読了後に観てきましたので、そちらの感想はまた後日。

UNISON SQUARE GARDEN「TOUR 2016 Dr.Izzy@よこすか芸術劇場」の感想。


UNISON SQUARE GARDEN「mix juiceのいうとおり」ショートVer.

 

行ってきました。念願のUSG初ワンマン。控え目に言って最高すぎました。

 

何から書いていいかわからないので、とりあえず会場のことから書いてみよう。

自分は横須賀の方に行くのは初めてで、当然のことながら今回の会場のことも全く知らなかったんですけど、普段はオペラなんかの公演にも使われるそうで。

つまりな、音響が完璧なんだよ。

横須賀芸術劇場 [劇場施設&客席]

↑こちらが会場。同行者は自分なんかよりもたくさんライブ参戦の経験がある人でしたが、彼女曰く「余計な音が聞こえてこない」ホールでした。うん、納得の一言。

上層階の席でしたが思ってたより全然近いし全然観れるよ。高所恐怖症の人は大変だろうけど。 

 

セトリは当然のことながらアルバム「Dr.Izzy」を中心に構成。収録曲全部やったね。神聖で荘厳な雰囲気を纏ったイズミカワさんのOP(存在を知ったのが最近だから、「これが噂の!」って感じでした)から、がらりと雰囲気を変えたタイトルコール音声。飛行機のテイクオフを想起させるようなあの圧力のかかる疾走感というか、それが最高に恰好良い。そこを抜けた先に乗ってくるミステリアスな「エアリアルエイリアン」のイントロ。歌い出しの斎藤さんの声だけで既に泣きそう。そのまま駆け抜けるように「アトラクションがはじまる(they call it "No.6")」。アルバムの頭2曲のこの流れで、完全にテンションはMax。完璧に心を奪われました。

そこからも勢いは衰えず、「場違いハミングバード」からの「オリオンをなぞる」。この辺りの曲って終盤に演るものだと思ってたから驚いた。かなり序盤なのに既にライブ後半ばりの盛り上がり様が印象的でした。最初からクライマックスとはこのことか。

 

個人的に嬉しかった選曲は、中盤の「君はともだち」。斎藤さんのボーカルは曲によって本当にいろんな表情を見せてくれる。ガツガツと鋭くて刺々しいロックから爽やかで疾走感溢れるポップスから穏やかなバラードまで、何でも無理なく歌いこなしてしまう。生で聴くと"無理なく"というのが本当に感じられる。何者なんだ彼は。

ロッキンのセトリにはこういう類の曲は組み込まれていなかったのだけれど、自分は彼がバラードを歌う時の優しく下から手で包み込んでくれるような声が凄く好きなので、意外性も含めこの曲を演奏してくれたのは嬉しかったなぁ。歌詞にも浸れてなんだかじんわり泣けてきた。言ってしまえばめちゃくちゃ好きな曲なわけです。同じような楽曲だと「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」や、セトリにはなかったけど「未完成デイジー」、「君が大人になってしまう前に」、「夕凪、アンサンブル」あたり。そういう曲が好きなの。

 

何より驚いたのは、それぞれの演奏のレベルの高さ。特にね、貴雄さんのドラムが凄まじかった。ドラムソロのセクションでスティックでジャグリングしてる間も絶えずドラムの音が響いてるの。息を呑むとはまさにあのことで、呼吸を忘れて釘付けになっていました。ドラムソロが間をつなぐためではなく、目玉を張るアクトとして存在してるのが凄い。もう凄いとか恰好良いとかやばいとかそんな言葉しか出てこないです。ボキャブラリーのなさを痛感してる。

ボーカル、ドラムときて、残すはベースの田淵さんなわけですが。ロッキンの時も思ってたけど、彼は本当に楽しそうなの。ただ暴れてるだけじゃないよ、彼は。音楽を心の底から楽しんでいるような、そんな感じが彼らの表情見えない遠くの席まで伝わってくる。それであのアホみたいに難しいベースを弾きこなしコーラスまでするんだから本当に凄い。ベースは勿論だけどコーラスめちゃめちゃ上手いです田淵さん。いつも思うけどUSGってどのパートも音数多いよね。過去にライブに行った知人が「3人とは思えない音の厚みだった」と言ってたけれど、全く同じことを自分も感じてきた。

 

あと、毎回なのかな?今回だけなのかな?MCが少ない。そしてゆるい。これは、「MCもっとやってくれよ!!喋ってるのも聞きたいよ!!」っていう文句でも何でもなく、ゆる〜っと喋ってゆる〜っと曲に入っていく感じがなんか好感を持てたって話。アツく語ってくれるのも好きだけどね。RADWIMPSの洋次郎さんみたいな感じで。とりあえず、5階建の客席を眺めながらいかにも慣れない感じで「1階!!2階!!」って客席を呼ぶ斎藤宏介が可愛すぎました。何者なんだ彼は。

 

冒頭で言った通り控え目に言って最高すぎました。 死ぬまでに一度行きたいと思ってた彼らのワンマンですが、死ぬまでにもう一度行きたいです、もう一度行かせてくださいお願いしますと誰かに頭下げたくなりました。それまでは死ねない。

できれば、これは本当にできればの話だけれど、もし叶うのなら次はもっと近い席に行きたい。こんなことを思うのは本当に珍しいのだけれど、彼らがどんな表情であの音楽を奏でているのか、間近で見たくなりました。

 

映画「ミュージアム」の感想。

映画『ミュージアム』×ONE OK ROCK 特別映像公開!

 

本予告のほう何で貼れないんだろ。

グロテスクな描写は得意ではないのですが、映画化を知った時から期待していた作品なので観賞しました。原作コミックは読了済。

以下、若干のネタバレを含みます。できるだけ避けて書いたけど、気になる方はスルーで。

 

 

 

***

 

 

 

原作と異なる結末と謳われていましたが、相違点はほぼなく原作と同じように話が進んでいきます。ただ、映画版のほうが後味の悪さは軽減されていて、それ故ハッピーエンド感も強くなっていた印象。

その色を強めるのが、映画版オリジナルキャラクターの橘幹絵。彼女のお陰でこの物語は大団円を迎えたといっても過言ではないが、それは原作のラストを知っている人間の感想になるのだろう。それだけに、彼女が最後に"再会"する相手との過去をもっと掘り下げてほしいという思いは残ったかな。いや、蛇足になってしまうだろうか。

グロテスクでなかなか衝撃的なシーンは数多いが、原作よりも全然ぬるい。観やすいです。先述のとおり自分はグロテスク系の映像があまり得意ではないですが、普通に観れました。まぁどんなものが出てくるかを原作読んで知ってるというのもあるんだろうなぁ。

それでも、「ここまで映像化するか!」というところまできっちり映画に入ってました。特報でも扱われていた「母の痛みを知りましょうの刑」は、殺害されるシーンは勿論被害者の自宅シーンから殺害シーンまで原作そのままでよかった。流石に殺されていく過程は省かれてたけど。そういうことです、原作より観やすいってのは。原作の中の目を背けたくなるような描写を抽出してカットしてる感じ。だから原作と本筋は一緒なの。グロい映画というより、スリリングな映画という印象。コミックスのページを捲る瞬間にグッと息を呑んでしまうあのドキドキ感は健在です。

カットされなくて嬉しかった場面といえば、最後に登場するフリーライターがとある人物に取材を持ちかける際にとある質問を投げかけるのですが、それが残っていてよかった。それはこの作品を「とある刑事と猟奇殺人鬼の闘い」として傍観していた我々に、物語そのものをノンフィクションの世界にぐっと近付けてくるような役割を果たしている重要な台詞。勿論彼の一眼レフは演出・効果として他の役割も果たすのだけれど、原作読了後はその台詞があったから、とある社会制度について考えさせられたりもした。うん、あれは残してくれててよかった。

逆に、原作にないものとしてはカエル男の自室にある殺人を示す人形の演出が個人的にはお気に入り。お気に入り、ってのも物騒な話だけれども、一連の事件をそれぞれ示すフィギュアが飾ってあって、あぁ彼にとっての「ミュージアム」ってこういうことなんだろうなとぼんやり思ってた。成程、確かにこれだと美術品に見えなくもない。

 

そして巷でも話題になっているけれど、妻夫木聡が凄かった。本当に。最初カエル男・霧島を彼が演じると聞いた時はイメージと違いすぎてげんなりしたけれど、予告編を見て度肝を抜かれました。同時に、期待値が物凄く上がった。

だってさ、


映画『ミュージアム』母の痛みを知りましょうの刑【HD】2016年11月12日(土)公開

これ、ブッキーじゃないでしょ(笑)

怪演とはまさにこの作品の彼のためにある言葉だと思いました。スクリーンに映るのは、下品で、気持ちが悪くて、狂気に充ち満ちた霧島早苗そのものだった。同じシアターにいたブッキーファンと思しきママさんたちが可哀想で仕方なかった(褒めてる)。加えて、これは演出の話も混ざるけれど、物語の中で話す彼の最後の言葉には一瞬彼をシリアルキラーから被害者に引き落とすような力があってよかった。そこまで見事に演じていた。あの台詞は原作にはないんだよなぁ。

あとね、「メトロポリタンミュージアム」を口ずさむ場面。あそこも原作のままで面白かった。ほんと、全体的に再現度がかなり高いと思う。

キャストの話でいえば、ベテラン俳優松重豊の芝居が本当によかった。さすがベテラン。あんな上司欲しいなぁっていう上司の役です。物語を通して誰が一番格好良いかって、彼の演じるセキさんなんだよなぁ。

 

あと、ONE OK ROCKの主題歌も合ってた。シリアスで疾走感のある曲。歌詞はほぼ英語で何言ってるかさっぱりなんですけど、今度見てみようかな。

 

ちょこちょこツッコミどころはあれど、個人的にはかなり良作だと思う。多分原作ファンからも支持される作品になったのではないかな。自分はもう一回観てもいいと思ってる。

 

 

「ROCK IN JAPAN FES. 2016(開催二日目 8/7(日)」の感想。

今更かよ、って感じなんですが一応感想は残してたのでここにも落としておきます。

 

***

 

今年の夏まで自分はフェスというものに参加したことがありませんでした。あんなのはロックが好きで、毎日ウェイウェイしているような所謂リア充?パーリーピーポー?が参加するような自分とはほとほと縁の無いイベントだと思っていたし、音楽の趣味自体もそこまでロックに寄っていなかったので、そもそもそこまで興味もなかった。disってないよ。

ところが、昨年の夏頃から色々なアーティストの音楽を聴く機会が増えた。きっかけはよくわからないけども、友人に連れられて小南泰葉のライブに行ったのが最初だと思う。


小南泰葉 - 噓憑きとサルヴァドール

多分物凄く好みは分かれるけど、なんて力のある人なんだろうと思いました。予習にと借りたアルバムは未だに聴いているし、今年の夏にも一度ライブに足を運びました(その感想文も書けてないな)。ハコと呼ばれるような小さなライブハウスの良さを教えてくれたのも彼女だし、何より生で聴く音楽っていいな、もっといろんな音楽に触れたいなと思った大きなきっかけでもあった。

そんなこんなで、いろんなアーティストの音楽を聴くようになったわけです。小南さん以外にも、RADWIMPSとか、NICO touches the Wallsとか、back numberとか。UVERworldも以前よりも聴くようになったし、Mrs.GREEN APPLEも好きになった。今一番聴いてるのはsumikaかな。それまでは広く浅く、強いていうなら嵐、ナオト・インティライミ辺りをよく聴くかな、あぁでもアニソンもVOCALOIDも全然いけますよ、くらいの人間だったので、これでも音楽の趣味は広がったほうなんです。かなり。自分の中でロックといえば、サザンかポルノかその辺りだったのです。

その中でも心を射抜かれたのがUNISON SQUARE GARDENだった。


UNISON SQUARE GARDEN「桜のあと(all quartets lead to the?)」ショートVer.

元々この曲が好きでよく聴いてたのですが、アルバムの他の曲にはあまり手をつけておらず。今考えると相当勿体無いことをしていた。他の曲もよく聴くようになったのは、ラジオで流れてた「シュガーソングとビターステップ」を偶然耳にしたあたりからかなぁ。それ以降はアルバムを聴き込み他のアルバムも借りの日々でした。今年出たアルバムも購入しましたからね。

そんな彼らの音楽に一度は生で触れたくて、何度かライブのチケットを取ろうと試みたのですが叶わず、途方に暮れる中で知ったのがフェスへの出演情報でした。

今年の春先から夏前にかけてはそこそこ私生活が忙しかったので、まぁ夏ならいけるか、大丈夫っしょ!と勢いだけで応募したのが「ROCK IN JAPAN FES.2016」。そう、私はUNISON SQUARE GARDENに会うためだけにあの真夏のひたち海浜公園に足を運んだと言っても過言ではないのだ。

前置きが随分と長くなりましたが、気付いたら自分の想像する通りのロック好きなリア充?パーリーピーポー?に自分自身がなっていて、縁のないと思っていたフェスに初めて参加することになったわけです。開催2日目の8/7(日)のみの参戦でありました。どうでもいいけどライブってみんな参戦っていうよね。

 

以下、自分のタイムテーブルと感想です。

 

*DJ和

一通りグッズを買い揃え呑気に記念撮影などをしていたら、近くのブースから星野源の「SUN」が聴こえてきた。DJの何が凄いって、彼らは自分の曲として持っているものがないにもかかわらず、それぞれ目当てのアーティストがいて会場まできた聴衆の心を掴む術を知っているのだ。自分も思わずふらりと足を運んでしまった。恐らく、ここに集う大半が私と同じようにしてこのステージに来たのだろう。まんまと策略に嵌められたというやつだ。

「DJなんてどうせ他のアーティストの寄せ集めでできている」などと侮るべからず。そもそも自分はDJプレイというものをこれまで目にしたことがなかったので若干そう思っていた部分はあったのだが、違かった。先述のとおり、彼らはとにかく巧い。我々が喜ぶポイントを知っている。しかも、アーティストの枠を超えて我々を巻き込んでくる。知っている曲がかかれば嬉しいし、知らない曲でも周りに合わせて腕を挙げれば楽しくなるものなのだ。我々の世代どストライクのナンバー、和田光司の「butter-fly」なんて飛んで跳ねて歌って大変だった。

朝9:00という早い時間から、これから始まる一日へとそれぞれの期待を高め、我々のボルテージを上げるには充分すぎる内容でした。私もその足でついうっかり生ビールなどを飲んでしまった。全くけしからん。

 

9mm Parabellum Bullet

アーティストとしてだけではなくジャンルとしても全く聴いたことがなかったので、かなり新鮮な時間でした。ゴリゴリのロック。おお、これぞ想像していたロックフェス、って感じのロック。

DJ act.を除いては初めてのフェスの初めてのステージだったので、正直雰囲気を掴むので一杯一杯でした。印象も「かっこいいおじさんたち」。薄っぺらい感想で非常に申し訳ない。でも本当にかっこいいおじさんたちだったの。あれだけ広い屋外ステージなのに音ひとつひとつに重みがあって、ずっしりとのし掛かってくるあの感じは、多分出そうと思って出せるものではないんだろうなって。うん、書けば書くほど薄っぺらくなりそうなのでやめよう。ファンの方申し訳ない。

 

*sumika

「Lovers」しか知らない状態での参戦でした。今考えると非常に勿体無い。本当に勿体無い。小南さんを教えてくれた友人のおススメということでステージのあるテントの後方の更に後方、日差しを遮る木陰の中での鑑賞でした。ああ、本当に勿体無い。

演奏を聴いてて思ったのは、「ああこの人たちは自分たちの曲を大好きになってくれたファンの人たちが本当に大好きなんだな」ということ。公開リハの段階からそれを感じずにはいられなかった。人間的な暖かさ、アットホームさを強く感じる、まさにファンにとっての”住処”なんだろうと。そういうバンド。

勿論曲もめちゃめちゃいいです。生で聴くとコーラスの厚みが凄まじい。響きに包まれるような、飲まれるような、そんな演奏をする人たちです。リハの第一声から完全に心を奪われてしまったのですが、よくよく考えてみるとあれ多分「リグレット」だったんだよなぁ。今大好きなんだよなぁ。もっとちゃんと予習しておけばよかったなぁ。

追記:2017.1.27

セトリ確認したらリハで演奏したのは「雨天決行」でした。全然違うやん。

 

ゲスの極み乙女。

遠目にチラッと見ただけなので詳しいことは書けないですすみません。殆ど聴いたことがなく印象といったら例の報道とか知人がよくカラオケで歌ってるとかそんな感じなんですけど、真昼間の一番大きなステージに物凄く大勢の人が集まってて、ああそれだけ力のある音楽を奏でる人なんだなぁと「私以外私じゃないの」「ロマンスがありあまる」を聴きながら思ってました。”オシャレ”なんてありふれた言い表し方しかできないけれど、曲の展開が洒落てますよね。報道以降なんとなく聴く気をなくしていたけれど、勿体無いことをしていたのかもしれない。にしても、いこか様が美しすぎる。

 

*Mrs. GREEN APPLE

もう、とにかく若い。フレッシュ。その名の通り瑞々しいバンドでした。どこかがむしゃらで、尖っていて、それ故の瑞々しさ。青春のキラキラとした輝きがそのままバンドになり、そのまま音になって飛んでくる感じ。エレクトロニックなサウンドがそういう部分を引き立たせているのかもしれないね。あと、アルバムを聴いているときも思ったけど、大森君のヴォーカルって芯があって力強いのに透明感に溢れていてとても素敵だ。

ライブパフォーマンスも、みんな楽器片手に飛んだり跳ねたり踊ったり、それもまた本当に楽しそうにやるものだから、未だに彼らのあの姿を思い出しながら「あぁ、若いっていいなぁ…。」なんてどこかのご老人が縁側で茶を啜りながら口にしそうなことを自分も思ったりする。あとMCがめちゃめちゃ可愛かった。

目玉アーティストのうちの1組だったので前の方に陣取ってました。ステージ近くに行く楽しみを教えてくれたのも彼らですね。あとイントロだけだったけど、公開リハで「我逢人」聴けたのは嬉しかったな。

 

いきものがかり

RADWIMPS胎盤」ツアーに参戦した日の対バン相手がいきものがかりでした。なのでライブは2回目。王道J-popを征く彼らがロックフェス?と思っていたけれど、それは彼らも同じだったようで水野さんが「ど〜も〜〜J-popから参りました〜〜!!」とひと笑い取りに来た。そう、喋りも面白いアーティストなのだ。

そして何と言っても吉岡聖恵の歌唱力である。CDで聴くよりも数段キュートな声質を持つ彼女の伸びやかで生き生きとした歌と言ったら!ライブに出向いたことのあるアーティストなんて数組しかいないけれど、「突き抜けるような」という感覚を味あわせてくれたヴォーカルは、ぱっと思いつく限りNICO touches the Wallsの光村龍哉と彼女くらいだろうか。彼女の歌は曲によって本当に表情が変わるので、是非生でも聴いていただきたい。「コイスルオトメ」の歌い上げっぷりなんかもう号泣モノです。勿論、彼らの元気いっぱいのナンバー「気まぐれロマンティック」「じょいふる」なんかも、思いっきり踊って楽しめる。マジでワンマン行きたいなぁ。

 

ORANGE RANGE

USGのスタンバイがてら参戦。まだランドセルを背負ってるような頃に流行って耳にしてたので、懐かしいなぁという感じ。自分の思う夏フェスっぽいアーティスト第1位は彼らかなぁ、勝手に夏のイメージが強いと思ってるのもあるけど、とにかく聴衆を引き込んで巻き込んでというその力が凄い。巻き込み方も、すごく熱があって、うーんなんだろう。伝わらないかな。あ、喋りも面白いよ。

彼らは、フェスに来てる恐らく大多数の世代にとっての夏の代名詞であり、青春時代を思い出す懐メロなんだろうな。「以心伝心」「イケナイ太陽」とか、まさに我々の世代の曲なわけです。それを今生演奏で聴けるんだから、贅沢な話だよね。

 

UNISON SQUARE GARDEN

開幕一番で泣きそうだった。個人の感情しか入り混じっていない感想で大変恐縮なのですが、やっと会うことのできたという思いと、それでも尚圧倒的な格差を感じる距離に涙が出そうでした。距離って遠いのが嫌とかではなくて。語り出すとキリがないのでこの話はまたの機会に。

もう自分に関して言えば姿を見ただけで泣いてしまうような精神状態だったので感想という感想も言えなさそう。マイクチェックをしにきた斎藤さんが夏場なのに白シャツネクタイで最高にプリンスでしたありがとうございます。あと、他の方も感想に書かれているのをちらほら見かけますが、「どうも、UNISON SQUARE GARDENです」と最後の「Cheap Cheap Endroll」前の「またね」しか喋らないところ、バンプ目当てに抜け出す人が多発する中残ったファンたちに「もっと嫌いになっていく」という歌詞を投げかけて去っていくところ、最高にロックでかっこよかった。

 貴雄さんはスティック回せててよかった。あと、田淵さんが客席に指をさしてニッと笑ってくれたのは、私が凄い勢いで手を振ってるのを見つけてくれたからに違いない。そうだと思っておく。

 

当日は猛暑日だったけれど、既に真夏のフェスを経験済みの諸先輩方にアドバイスを頂き万全の体制で挑んだこともあり、体力的にも体調の面でも辛い思いはせずに済んだ。友人の力は偉大であります。

それもあり、完全にフェスの楽しさを知ってしまった。これはまた参加せずにはいられない。 CDJは行けそうにないので、また来年以降かな。

それから、非常に有難いことにUSGとsumikaはワンマンのチケットが当たったので、非常に楽しみであります。

 

 

 

 

 

小説「すべてがFになる」の感想。

なんか前回の更新から3ヶ月以上経ってるじゃないですか。ロッキンのもまだ書いてないよ。「君の名は。」も観に行きましたよ。

ということで、お久しぶりです。誰が見てるのかも、そもそも誰か見てるのかもわからないけど、まあそれはいつものことなのでいいです。なんてそんなこと言いながら、どなたか見てくださってたら嬉しいわけです。ありがとうございます。

 

というわけで、久々の読書感想文です。

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

 

 

自分は根っからの文系人間なので、プログラミング、理数用語、ウッ頭が……。という感じで読み進めるのに非常に時間を要しました。総計5時間ちょいくらい。読書から離れた生活を送っていたもので、全盛期よりだいぶ遅くなったのもありますが。

 

アニメ版を視聴済みの知人たちに勧められて購入しました。とりあえず原作読みたかった。結果、正解だと思った。何故か。アニメ版もドラマ版も、自分の中のイメージと作画・配役が掛け離れていたからに他ならない。

 

 

完全に個人の好みの問題なんですけどね。読了後に検索して涙を拭いました。唯一綾野剛だけはなんとなくイメージと合うかな、まあそれは置いといて。

 

考えてみれば、勧めてくれた知人は皆工学系の出身なんですよね。前述のとおり根っからの文系人間なもので、苦しみながら、何度もページを戻りながらの読書になりました。全く、天才たちの会話には着いていけない、発想が理解できない、なんて無機質な話だ。理系用語は多いし。意味のわからないカタカナ語もたくさん出て来るし、あーもう……。と、思っていましたが、最後の最後、本当の最後に、悲しい程人間的な物語であることにようやく気付きました。

タイトルにもなっている物語最大の謎解きも、元々知識がある人なら目から鱗が落ちるような体験ができるのでしょう。自分はその辺りの分野に明るくないので「ん?そんなものが、あぁ…へぇ…そうか…。」と、なんだか釈然としない感じになってしまったのが残念。物語に矛盾があるとかそういうことじゃないの。単に自分が勉強不足だっただけで。

逆に、だからこそ最後の最後にやっと触れることのできた天才の"感情"に、(おそらく)他の読者の方より自分に近いものを感じ目を潤ませることができたのかも、とも思うのです。人間的な寂しさ、それ故の暖かさが、心にじんわりと沁みる結末でした。

 

とても人間的で、そしてとても寂しい物語です。プログラミングやらそういう分野に理解の深い人ならもっとすいすい読めるんだろうな。言い回しも単語も小難しいけど、読後に後悔はしないと思う。面白かったです。でも映像版は観るかわからない。アニメ版のOPもEDも好きなんですけどね。

映画「高台家の人々」の感想。

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少し前になりますが観てきました。「植物図鑑」同様原作は未読です。

 
原作(特に漫画)を持つ作品の実写化は毎回非難の声が多くあがりますね。この作品に関しても観劇前にレビューを眺めたところ、やはり原作ファンの受けはあまり良くないようで。
それでもポツポツと「原作は原作、これはこれで面白い」という感想が見受けられたのが気になりました。成程、別物として楽しむ分には問題ないのか。(それとも別物として楽しむことを良しとする器の大きさがこの作品のファンには備わっていたのか。)
 
物語後半に向けて失速していった感じは否めませんが、話自体はとても好き。見どころはやはり、平野の妄想の中身。妄想の設定を自分の都合の良いように書きかえることは自分も幾らでもありますが(←笑)、それが映像になるとこんなにコミカルになるのか、という印象。ぱっと見不思議ちゃんキャラな綾瀬はるかがぴったりでした。
それから高台家のお屋敷の雰囲気もとても好き。これはもう個人の好みの問題ですが、重厚なアンティーク調の建物大好きなんですよね。
 
それだけあって後半への勢いのなくなり方が残念。ここで終わり?いやまだ…終わり?いやまだか……と心の中で数度思う場面が。正直蛇足ととれる部分も。でもまあいいや面白かったから。水原希子可愛かったし。
 
原作との間にどれだけギャップがあるのか、原作ファンの感想も直接聞いてみたいですね。そもそも原作って完結してるのか…?