記録簿

小説とか映画とか音楽とか展覧会とかライブとか、そういうやつの感想をつらつらと残していきます。

小説「すべてがFになる」の感想。

なんか前回の更新から3ヶ月以上経ってるじゃないですか。ロッキンのもまだ書いてないよ。「君の名は。」も観に行きましたよ。

ということで、お久しぶりです。誰が見てるのかも、そもそも誰か見てるのかもわからないけど、まあそれはいつものことなのでいいです。なんてそんなこと言いながら、どなたか見てくださってたら嬉しいわけです。ありがとうございます。

 

というわけで、久々の読書感想文です。

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

 

 

自分は根っからの文系人間なので、プログラミング、理数用語、ウッ頭が……。という感じで読み進めるのに非常に時間を要しました。総計5時間ちょいくらい。読書から離れた生活を送っていたもので、全盛期よりだいぶ遅くなったのもありますが。

 

アニメ版を視聴済みの知人たちに勧められて購入しました。とりあえず原作読みたかった。結果、正解だと思った。何故か。アニメ版もドラマ版も、自分の中のイメージと作画・配役が掛け離れていたからに他ならない。

 

 

完全に個人の好みの問題なんですけどね。読了後に検索して涙を拭いました。唯一綾野剛だけはなんとなくイメージと合うかな、まあそれは置いといて。

 

考えてみれば、勧めてくれた知人は皆工学系の出身なんですよね。前述のとおり根っからの文系人間なもので、苦しみながら、何度もページを戻りながらの読書になりました。全く、天才たちの会話には着いていけない、発想が理解できない、なんて無機質な話だ。理系用語は多いし。意味のわからないカタカナ語もたくさん出て来るし、あーもう……。と、思っていましたが、最後の最後、本当の最後に、悲しい程人間的な物語であることにようやく気付きました。

タイトルにもなっている物語最大の謎解きも、元々知識がある人なら目から鱗が落ちるような体験ができるのでしょう。自分はその辺りの分野に明るくないので「ん?そんなものが、あぁ…へぇ…そうか…。」と、なんだか釈然としない感じになってしまったのが残念。物語に矛盾があるとかそういうことじゃないの。単に自分が勉強不足だっただけで。

逆に、だからこそ最後の最後にやっと触れることのできた天才の"感情"に、(おそらく)他の読者の方より自分に近いものを感じ目を潤ませることができたのかも、とも思うのです。人間的な寂しさ、それ故の暖かさが、心にじんわりと沁みる結末でした。

 

とても人間的で、そしてとても寂しい物語です。プログラミングやらそういう分野に理解の深い人ならもっとすいすい読めるんだろうな。言い回しも単語も小難しいけど、読後に後悔はしないと思う。面白かったです。でも映像版は観るかわからない。アニメ版のOPもEDも好きなんですけどね。