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記録簿

小説とか映画とか音楽とか展覧会とかライブとか、そういうやつの感想をつらつらと残していきます。

小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の感想。

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

 

 前々から気になってた作品を一気読みしました。文字通り一気読み。

一気読みというのは決して斜め読みではなく、しっかり読んでの一気読みです。それくらいの長さ(300ページ弱)で、文体も軽くてさらっと読める感じ。感覚的にはライトノベルを読むのに近いかも。

 

もうただひたすら切なくて、読み進めるごとに2人にのしかかる運命の重さ、残酷さが、ずしりと胸を圧し潰すような読感が印象的な作品でした。ライトな文体だからさらっと話が入ってきてしまうのもつらい。何を考える猶予も与えずに文字を目で追うだけで泣けてしまう。

ある電車の中というありふれた日常風景の中から物語が始まるのに、最終的にかなりスケールの大きい話になるので、そこに馴染めないというか違和感を感じる人は少なくないのかも。けっこうぶっ飛んでます。個人的には『陽だまりの彼女』を彷彿とさせると思ってます。恋愛もの??ファンタジー??えっ??みたいな。スケールのでかさで言ったら『君の名は。』も負けちゃいないか。最近の作品しか例に出せず申し訳ない。

ただ、恋に落ちる2人を描いたどのシーンも、映像として切り取るとまるでフィルターをかけた写真のようにどれも美しくて、でも光に透けて消えていきそうな儚さを孕んでて、もうそれだけで泣けてくる。舞台が京都っていうのがまた頭の中の映像美感を増していい。実際、近所のカフェで読み進めていたものの途中で涙を堪え切れなくなって、慌てて自宅に戻って続きを読みました。めっちゃ泣いたわ。でもまた泣くのを承知でもう一度読み返したくなる作品だな。一番最後の場面が特にそうさせる。読み進める途中に少しページを遡るのではなく、最後まで読んだらもう一度始めから、となる一冊。永遠にループしたくなる感覚は自分がこれまで読んだ中で一番好きな作品によく似ているのだけれど、そこに触れると「ぼくは明日-」のネタバレというか、作品に仕掛けられた謎の手掛かりになってしまいそうなので残念だけれども割愛。多分こういうネタのものが好きなんだろうね。お暇な方は探してみてください。東野圭吾作品だよ。

 

それから、この作品は主人公南山孝寿の視点で語られるわけですが、「彼にこんな風に思われたい!」「私のこともこんな風に好きでいてくれたらいいな!」が詰まってるんじゃないかな。キュンキュンしたい女子、キュンキュンさせたい男子、必見だぞ。自分にはよくわからないけど。

 

若干話は逸れたけど、映画化まで漕ぎ着けた理由がよくわかりました。読了後に観てきましたので、そちらの感想はまた後日。